ナタリー
フルリザンヌ彫り職人

フルリザンヌ彫りは19世紀に全盛期を迎えた装飾技法です。フルリエの時計工房では、この技法を駆使してスイスウォッチのムーブメントにヴォリュート(渦巻き模様)や花をモチーフにした装飾を施していました。ある時、カール-フリードリッヒ・ショイフレはフルリエのマニュファクチュールにあるショパールのミュージアム「L.U.CEUM」で、ムーブメントにフルリエの伝統である繊細な渦巻き模様があしらわれたゴールド製ウォッチを目にします。そして彼は、忘れ去られていたこの伝統を甦らせ、ユニークピースや希少な限定ラグジュアリーウォッチのムーブメントに装飾を施すことを決意しました。その実現に貢献したのが職人のナタリーです。2004年よりショパールでムーブメント装飾に携わってきた彼女は、それ以来、フルリザンヌ彫り職人として活躍しています。
"それはお互いにとって良い機会でした。チームの一人はこの技法を学ぶことに意欲があり、我々はその機会を提供しました。彼女は学び、練習し、最終的にこれらの作品を完成させました。こうしてフルリエのヘリテージの一部をなす特別な技法が受け継がれることとなったのです。"
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カール-フリードリッヒ・ショイフレ

ナタリー: フルリザンヌ彫り職人

"世界に一つのスイスウォッチ. わずか8本の限定スイスウォッチは、ムーブメントの装飾に1年という時間を費やします。マニュファクチュールのアトリエで装飾が施されたタイムピースは、そのどれもが世界にひとつの存在です。"
ナタリー フルリザンヌ彫り職人

チーフを自らデザインしていきます。この工程では鉛筆を使い、すべてフリーハンドで描かれます。これはボリュームとシェイプを完璧にマスターしているからこそなせる技です。先のとがった彫刻刀でパーツに印を付けたら、花のモチーフを残してその周辺の素材を削り取り、レリーフを加えていきます。花は、浅浮き彫りの彫刻のようにメタルから浮かび上がり、その姿を現します。スイス製ウォッチムーブメントに施されるフルリエ様式の装飾はこれだけではありません。モチーフの背景にも、同じ彫刻ツールを使って点描の模様を施していきます。続いて、モチーフに研磨を施します。ゴールドは極めて柔らかく傷つきやすい素材であるため、この工程には大変な慎重さが求められます。

わずか8本の限定スイスウォッチのムーブメントの装飾に、1年という莫大な時間を費やします。ナタリーがフルリザンヌ彫りを施すラグジュアリーウォッチはごくわずかですが、こうした工程を経て崇高な作品へと昇華されていきます。彼女が使用する彫刻道具の中には、削った金属を取り除くやすりや打ち具など、15年前から使用しているものがあります。その中でも彼女自身で自作した彫刻刀は、彫り出した溝に跡が残ることのないよう鋭く磨かれています。フルリザンヌ彫りの卓越したディテールは、人の手のみが成し得る技と美に捧げられた情熱を物語っています。時を彩る装飾には、多くの時間が費やされているのです。

Artisan of emotions
ショパールの職人たち